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気泡

によるトラブル 

製品不良、計測上の問題など気泡によるトラブルは液の種類により多種多様ですが、代表例として油圧システムについてみてみます。

 

1) 空気溜り 

分散気泡はポンプにより加圧されると油中に溶解しますが、圧力が低下すると再び気泡として析出します。 上記より、油圧システムを停止して放置された場合、析出された気泡は浮上し、液体の最高部位に集合します。 これはシリンダの誤作動、息つき、加圧力の変動など、思わぬトラブルを引き起こす要因になり得ます。トラブルの例としては、油圧シリンダの突発作動、シリンダパッキンの燃焼劣化などが知られています。

 

2) 油温の上昇 

気泡はポンプなどで瞬間的に加圧されると温度が急激に上昇 します。気体が油中に溶解せず断熱圧縮されるとして概略値を容易に計算する事ができます。例えば、35℃の気泡を3.5MPaに加圧すると計算上580℃にも達します。気泡が高温になると気泡周辺の油は燃焼し油温上昇の原因となります。 また空気は熱を伝達しにくいので、油中に気泡を含有すると、熱伝達係数を下げ冷却性能を低下させます。これらの諸要因が相まって気泡はクーラーの容量を左右する程の影響が出ることがあります。

 

3) 油の酸化劣化 

気温の上昇は酸化劣化促進の要因 になります。酸化反応の原理から、作動油は60℃以上になると10℃上昇する毎に酸化劣化速度は2倍になります。作動油の寿命が短くなります。油の交換インターバルを同一にするためには大きなタンク油量が必要となります。

 

4) エアロエマルジョンによる潤滑性低下 

気泡は油膜強度を低下させ、機器内部で金属接触を引き起こし、摩耗を促進させます。油圧機器の寿命を低下させます。

 

その他のトラブルとして

(5) 騒音の増加

(6) キャビテーションエロージョン

(7) 圧縮性の増加による動特性低下

(8) ポンプ吐出効率の低下

 

などが挙げられます。

 

気泡の概略の上昇速度は計算で求められますが、分散気泡を油タンク内で浮上させるには 長時間を要します。ポンプで微細化した気泡やリリーフ弁から噴出したキャビティション 気泡は、タンク内で長時間滞留させても、浮上させるのは困難です。そこで強制的気泡除去 の発想が生まれます。